塗装用ローラーの種類と選び方
執筆:「ひょうたんラボ」運営スタッフ(株タイホウ)
次々と新しい建材や状況が生まれる塗装業界ですが、実際にどのような塗装ローラーを選べばいいのか迷ったことはありませんか?
塗装用ローラーを選ぶ際に大切なのは、ローラーの種類の特徴・スペック、また、あなたの塗装用途にあうぴったりのローラーを選ぶことです。
正しい塗装ローラーを選ぶことは、塗料を正確・効率的に塗る上で重要な要素ですので、この記事を参考に目的にあった最適な塗装ローラーをお探しください。
塗装ローラーの種類
ローラーには実に様々な種類のアイテムがあります。
塗装用ローラーを選ぶ際には主に以下のような種類から、目的に合わせて使用するローラーを選ぶことができます。
- 毛丈
- サイズ(ハンドル)
- 素材
- 塗料
- 用途
塗装用ローラーには種類ごとに特徴があり、ローラー選びの際にその特徴を把握しておくことが大切になります。
毛丈(毛の長さ)で選ぶ
タイホウのローラーは
- 超短毛〈2mm~3mm〉
- 短毛〈4mm~5mm〉
- 中短毛〈6mm~10mm〉
- 中毛〈11㎜~15mm〉
- 中長毛〈16mm~21mm〉
- 長毛〈25mm~30mm〉
という分類にしています。(ローラーメーカーごとに毛丈の分類は若干の違いはあります)
超短毛〈2mm~3mm〉
超短毛は主に2色塗り仕上げ作業用に使用され、微細仕上げという特徴があります。
短毛〈4mm~5mm〉
短毛は主に鉄扉等の金属面(平滑面)の塗装に使用されることが多く、鏡面仕上げという特徴があります。
中短毛〈6mm~10mm〉
中短毛は主に鉄扉等の金属面の平滑面やPC板等の平滑面の仕上げに使用され、美粧仕上げという特徴があります。
中毛〈11㎜~15mm〉
中毛は主に外壁・内壁で使用されます。仕上げと膜厚のバランスが重要です。
中長毛〈16mm~21mm〉
中長毛は主に外壁・模様面に使用され、塗料の吐き出し・被りが重要になります。
長毛〈25mm~30mm〉
長毛は外壁・模様面や屋根の塗装に使用され、塗料の吐き出し・被りに加えて作業性が重要になります。
ここまで細かい毛丈の理由
このようにローラーの毛丈は実にさまざまな長さのものがありますが、これらは塗る場所によって要求される仕上がりや艶、膜厚が違うからです。
塗る場所や施主様のニーズに合わせて毛丈を選ぶことが、綺麗な仕上がりの第一歩となりますので上記を参考に最適なローラーをお選びください。
ローラーのサイズ選び
タイホウでは以下のようなサイズ展開をしています。
- ミニミニサイズ(コア外径:10㎜)
- スモールサイズ(コア外径:15㎜)
- スマートサイズ(コア外径:19㎜)
- スリムMー23(コア外径:23㎜)
- ミドルサイズ(コア外径:25㎜)
- レギュラーサイズ・FC(コア内径:38㎜)
- FC(コア内径:44㎜)
※弊社オリジナル(PAT.P)ほほえみサイズ(コア外径:6.4㎜)
各ローラーサイズに合わせてそれぞれの専用ハンドルをお使いください。
毛の素材で選ぶ
現在一般的に使用されているローラーのテキスチャーは主に以下のようなものがあります。
- ハイパイル(丸編みニット)
- ダブルラッセル(経編ニット)
- フライスニット(緯網ニット)
- ウーブン(織物)
- 多孔質ポリエステル
ローラーの毛の素材で選ぶ
- マイクロファイバー
- ポリエステル
- アクリル
- ナイロン
マイクロファイバー
超極細繊維を使用しているので飛散が少なく、仕上がりが綺麗という特徴があります。
また塗料の含みも良く、使い勝手も優れているため多くの塗装現場で使われているローラー素材です。
ポリエステル
毛の比重が重く、比重の重い塗料や粘度の高い塗料との相性が良い素材です。
ポリエステルのローラーは毛に耐久性があり長持ちします。
アクリル
毛の比重が軽く、比重の軽い塗料や粘度の低い塗料との相性が良い素材です。
ナイロン
毛の比重が軽く、粘りの強い素材で、毛切れが少なく、高粘度の塗料に向きます。
塗料で選ぶ
ローラーの選び方として大切になるのが、どのような塗料を使用するかです。
一般的に流通している塗料は以下の種類があげられます。
- 水性エマルション塗料
- 水性反応硬化型塗料
- 水性微弾性材料
- 弱溶剤塗料
- 強溶剤塗料
- 自然用塗料
水性エマルション塗料
主に内壁、天井、上裏、軒天に使用される塗料で、自然乾燥タイプの塗料です。
水性塗料には主に水性塗料用と記載のあるローラーが適合します。
【水性エマルション塗料用おすすめローラー】
水性反応硬化型塗料
主に外壁や屋根に使用される速乾タイプの塗料で、空気中の湿気や酸素と反応し乾燥する塗料です。
現在の国内の外装用塗料として主流の塗料です。
1液型(主剤のみで使用するもの)と2液型(主材と硬化剤を混ぜたもの)があります。
【水性反応硬化型塗料用おすすめローラー】
水性微弾性材料
コンクリートやモルタルの上に塗装する炭酸カルシウムが多く混ざっている材料です。
砂骨ローラーや長毛ローラーを使用して塗布する厚付けの下塗り材です。
トップコートには水性反応硬化型塗料や弱溶剤塗料を使用します。
【水性微弾性材料用おすすめローラー】
- 砂骨ローラー 全種
- 月光 13㎜・20㎜・25㎜ >
- ドラゴン 16㎜・21㎜ >
弱溶剤塗料
別名ターペン型塗料と呼ばれる塗料シンナーで希釈する溶剤塗料です。
1液型と2液型があり耐候性に優れ、艶があります。
【弱溶剤塗料用おすすめローラー】
- 虎シリーズ 全種 >
- 月光 13㎜・20㎜・25㎜ >
- ドラゴン 16㎜・21㎜ >
- 赤鬼 10㎜・13㎜・20㎜ >
- キラキラローラー 10㎜・13㎜・20㎜ >
- 飛ばないローラーハヤブサ 全種 >
強溶剤塗料
従来型の溶剤塗料でソルベントといわれる強いシンナーで希釈する塗料です。
耐候性、仕上がり、艶、において抜群の性能があります。
しかし昨今は環境配慮の動きから使用量は減ってきております。
主に橋梁関係の塗装に使われる塗料です。
【強溶剤塗料用おすすめローラー】
自然塗料
植物由来の天然素材から作られている材料です。
低VOC塗料でシックハウス、シックスクール対策となる塗料です。
屋外・室内環境に配慮した塗料で最近需要が伸びてきております。
主に木部に使われる塗料です。
【自然塗料用おすすめ用具】
- コテバケ
※基布はマイクロファイバー
用途で選ぶ
ローラーの選ぶポイントとしては、どのような用途で使用するかも重要です。
実に様々な建材がありますので、よくある用途として以下をご紹介します。
- 広い面
- 天井
- 凸凹面
- 鉄扉、木扉
- フローリング、カウンター
広い面
内装・外装ともに平滑面でしたら仕上がりの良い中毛ローラーをお勧めします。
外装の模様面でしたら作業性の良い長毛ローラーがお勧めです。
【広い面のおすすめローラー】
天井
天井には飛散の少ないマイクロファイバーローラーをお選びいただくと作業効率がグッと上がります。
【天井のおすすめローラー】
凸凹面
凸凹面には凹部にまでしっかりと塗料を入れられる長毛ローラーをお勧めです。
凹凸面への塗装はローラにも分散して圧力がかかるので、毛に耐久性があるポリエステルのローラーが向いています。
【凸凹面のおすすめローラー】
鉄扉・木扉
ウーブンの毛丈では短毛ローラーから中短毛ローラーをお勧めします。
平滑な塗膜が必要とされ、鏡面仕上げを望まれる場合もあります。
【鉄扉・木扉のおすすめローラー】
フローリング・カウンター
ウーブンの短毛ローラーから中短毛ローラーをお勧めします。
これらは泡が噛みにくいローラーですので仕上がりも綺麗になります。
【フローリング・カウンターのおすすめローラー】
まとめ
塗装ローラーには実に様々な種類があり、全ての使用状況や用途を細かく考えて作られています。
最高の仕上げをするためにも、その用途や状況に合わせた最適なローラーをお選びください。
タイホウラボでは皆様の塗装環境をよりサポートするために様々な塗装用具の情報をお届けしてまいります。
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